すしのこ
手巻き寿司やちらし寿司に使う、酢飯を作るための便利な粉末調味料が、すしのこです。
すしのこは、大阪に本社を置く、タマノイ酢株式会社が、世界ではじめて、
食酢の粉末化に成功した商品です。
発売当初のキャッチコピーは、
「 パッとふりかけサッとまぜ、ハイおいしいすし御飯 」 でした。
すしのこが生まれた背景
タマノイ酢は、1907( 明治40 )年、大阪にあった5つの酢蔵が集まって創設されます。
1958年には、ベルギー・ブリュッセルで開催されたブリュッセル万国博覧会に、
日本の酢代表として、タマノイ酢が出品されました。
ちょうどその頃、市場では粉末調味料の販売量が急拡大していました。
消費者にとって粉末調味料は、手軽で使いやすく、保存も効きます。
企業にとっても、流通面の負担が小さいため、コストを削減できます。
当時の液体酢は日持ちせず、大きな瓶に入れて運搬するため、
流通面でも大変な手間がかかっていました。
「 すし酢を粉末化したら、すし作りがもっと簡単になるはず。
流通も大幅に楽になる。」
世界初の粉末すし酢 「 すしのこ 」 は、こんな発想から誕生したのでした。
すしのこが普及するまで
試行錯誤の開発の末、すしのこは、1963( 昭和38 )年に発売されました。タマノイ酢は、販売の中心を東京に置き、すしのこを全国に向けて展開。
しかし、大きな問題が。
すしのこを扱うのは、乾物店や食料品店のため、
今まで築き上げてきた酒屋ルートが使えなかったのです。
タマノイ酢の営業マンは、商品と同じ黄色に塗った 「 すしのこカー 」 で、
全国の乾物屋や食料品店を訪問して回り、
徐々に販売網を拡大していったのでした。
すしのこの評判は当初、あまり芳しくはありませんでした。
年配の主婦層には、酢飯は液体の酢を使い、
自分で作るものという考えがあったからです。
そこで、すしのこの良さを体験してもらうため、若い主婦層をターゲットに、
幼稚園や保育園の子供たちにサンプルを配布し、
それを母親へ渡してもらう作戦に。
この作戦は見事に当たり、タマノイ酢は、すし作りに頭を悩ませている、
若い主婦層を取り込むことに成功したのでした。
すしのこは、その後、順調に売り上げを伸ばし、世の中に定着。
おすしは家で作るものから、家に持ち帰って食べるものに変わってきた
現在でも、粉末すし酢に限れば、
すしのこの市場シェアは90%以上だということです。
ここから朝礼ネタ
先日、節分がありましたが、ご自宅で手巻き寿司を作られたところはあるでしょうか?
巻き寿司の酢飯を作るのに便利な 「 すしのこ 」 という商品があります。
あったかいご飯に、すしのこを振りかけて混ぜるだけで、
美味しい酢飯ができるという商品です。
このすしのこは、タマノイ酢という会社から、約50年前に発売されたそうです。
すしのこは、世間に認知されだすと、ほぼ横ばいで売り上げが推移していた
そうですが、ある時、一気に売り上げが伸びたそうです。
それは、一人暮らしの女性社員が、レトルトのパックご飯に、
すしのこをかけて食べてみたところ、これが美味しいことに気付きます。
さらに、すしのこをかけたパックご飯が、いなり寿司やマグロ丼などにも、
応用できたそうです。
そして、タマノイ酢は、パックご飯でも酢飯が作れることを表示し 、
スーパーの売場に、すしのことパックご飯の同時陳列などを行うことで、
ごはんを炊く機会の少ない、一人暮らしの人や、高齢者などの
新しい顧客を獲得します。
すしのこは、「 炊きたてごはんに混ぜるもの 」 という固定観念を持たなかった
ことが、大きく売り上げを伸ばす結果につながった、ということでした。
仕事におきましても、思い込みを捨てて、頭を柔らかくして
物事を考えられるように、心掛けていきたいと思います。
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